介護職員不足はこれからも続く可能性あり!
介護職員不足は避けられない?!
2015年、厚生労働省は「2025年度に全国で約38万人の介護職員が不足する」という推計を発表しましたが、なぜ2025年なのでしょうか。それは団塊の世代といわれる、第一次ベビーブームの起きたときに生まれた世代が75歳を迎える年だからです。
75歳といえば専門用語で後期高齢者ともいわれ、介護を必要とする世代でもありますが、その75歳以上の後期高齢者が一気に増加するため、2025年は介護業界にとって大きな衝撃を与えるだろうと懸念されているのです。介護業界は現時点でも職員不足に悩んでいますが、要介護者の数が増えるということは職員不足もますます深刻になっていくことが容易に考えられるため大きな不安が広がっているのです。では具体的にどれくらい不足していくのか、将来の推計を詳しくみてみましょう。
2017年度は需要見込み207万8300人に対して供給見込みは195万3627人、と12万4673人の職員が不足するとされていますが、充足率は94.0%とそれほど低い数値ではありません。しかしその3年後の2020年度は需要見込みが225万6854人に対して供給見込みは205万6654人で不足している職員の数は20万200人と一気に跳ね上がり、充足率も91.1%と大きく下がっています。さらにその5年後、問題視されている2025年は需要見込みが2525万9743人と一気に増え、不足する職員の数も37万7364人とわずか5年で17万人以上も増えています。その結果、充足率も85.1%と90%を割り大きく下回っています。
介護職員不足は都道府県で異なる
充足率が85.1%と90%を下回る2025年ですが、都道府県別にみるとバラつきがあることが分かりました。一番充足率が低いとされているのが、宮城県の69.0%。次いで群馬県の73.5%、埼玉県の77.4%、栃木県の78.1%と続きますが、平均の85.1%は18番目の山形県と、平均を下回る都道府県の数の多さに驚くばかりです。その中でもやはり一番目の宮城県が群を抜いて低い数値を出していますが、これは2011年に起こった東日本大震災による影響が大きいからにほかなりません。震災の復興に多くの労働力が割り振られ介護に従事する人を確保することができないのです。
充足率が高いということは不足する職員の数も高いと思いがちですが、職員数が一番不足するといわれているのは充足率が85.3%の東京でその数は3万5751人です。充足率は平均以上なのに、職員不足数が一番なのはなぜか。それは需要見込み数に比べて供給見込み数が低すぎるからです。
職員不足によって起こる問題とは?
充足率を上げるためにはやはり職員を補充し、供給見込み数を増やすしかありませんがなかなか難しいため、職員不足によって起こるさまざまな問題が懸念されているのです。
介護職員の不足は介護の担い手不足、ということでもありますが、担い手が不足しているからといって要介護者の数が減るわけではありません。需要見込み数をみても分かる通り、要介護者の数は増える一方なため、家族が介護を行う在宅介護をする世帯が多くなり、その中でも65歳以上の人が配偶者や親の介護をする「老々介護」も多くその割合は在宅介護世帯の約半数、51.2%にも上っています。さらに、自身も認知症のため要介護者であるにもかかわらず、人手宇足のため認知症の要介護者を介護する「確認介護」も増えています。要介護者が要介護者の介護をすることは事故も起こりやすく危険なため、早急にその問題を解決する必要があります。